結局、この日は依頼が入らなかった。
連休の最後というのは意外と静かだ。
出かける人はすでに遊び疲れているし、頼みごとも「また今度でいいか」と先送りされがちになる。
ぽっかり空いた一日。
何もしないのも落ち着かないので、道具の整備をすることにした。
普段使っている工具を一つひとつ取り出す。
ドライバー、ペンチ、脚立、電動工具。
汚れを拭き取り、ネジの緩みを確認し、油を差す。
こういう作業は地味だけど大事だ。
現場で「使えない」という状況が一番困る。
道具がきちんと動くかどうかで、仕事の質もスピードも変わる。
しばらく触っていなかった工具も、久しぶりに手に取ると状態が分かる。
少し錆びかけているもの、動きが重くなっているもの。
手入れをすれば、まだまだ使える。
ふと気づく。
仕事がない日も、無駄ではないということに。
こうして準備をしておくことで、次の依頼にすぐ動ける。
何でも屋は「待つ仕事」でもあるが、「備える仕事」でもある。
ゴールデンウィーク最終日。
静かな一日だったが、悪くなかった。
次に呼ばれたとき、ちゃんと応えられるように。
そのための一日だったと思う。
